展 示   
                  
                  
                   
                  
                  
                  
                  
                  
                   
                  
                  
                  
                  
                    
                      
                        | 1.はじめに | 
                       
                      
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                          現代では、広告を見ない日はないでしょう。テレビや雑誌はもちろん、インターネット、街かど、いたるところに広告はあふれています。山奥に逃げ込んでも無駄です。チラシが風で飛んでくるかもしれませんし、ふと見上げた空を商品名を描いた飛行船が横切っていくかもしれません。 
 そして、この図書館でも広告は行っています。広告は商品を売るためだけでなく、情報を提供したり注意を喚起したり、又、イメージアップを図るためにも行っているのです。 
                         
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                        | 2.看板 | 
                       
                      
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                         看板は、最も根源的な広告形態です 
                         
                         
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                        ◇最古の看板 西洋編 
                        
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                         四大文明インダス : NHKスペシャル / 近藤英夫,NHKスペシャル「四大文明」プロジェクト編著. -- 日本放送出版協会.  
                           請求記号:209||30||3 資料ID:10940082 配置場所:ポーアイ 
                                
                         現存する最古の看板は、インドの西部、紀元前3000年~1500年に栄えたインダス文明の城塞都市、ドーラヴィーラ(Dholavira)遺跡で発見された長さ約3メートルの看板で、縦30センチ横27センチのかなり大きなインダス文字10字がきざまれている。 
                         
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                        ポンペイの遺産 : 2000年前のローマ人の暮らし / 青柳正規監修. -- 小学館, 1999. -- (アートセレクション). 
                           請求記号:232||54 資料ID:30410053 配置場所:3階N19 
                                
                         1世紀ごろの古代ローマ時代をしのばせるポンペイの遺跡にも、店の壁やレリーフに、業種サインらしいものが認められる。 
                         
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                        ◇最古の看板 日本編 
                        
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                        律令 / 井上光貞 [ほか] 校注. -- 岩波書店, 1976.12. -- (日本思想大系 ; 3). 
                           請求記号:081||42||3 資料ID:20388102 配置場所:3階R5 
                                
                         奈良時代、官設の東西市で、わが国初の商業広告が行われた。   
 『大宝律令』(701年)の改訂版である『養老律令』(718年)の「関市令」に、次のように定められたことで、その様子を知ることができる。 
                           凡市。毎肆立標題行名。 
    <おおよそ市は肆(いちくら=店)ごとに標を立て、行名を題(し)るせ。> 
                         市には肆(店舗)毎に標(看板)を立て、行名(商品名)を明記せよと規定している。この標(標識)が看板の始まりとされている。 
                         
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                        土佐のにき / [紀貫之著] ; 藤原磯足 [校注] / 名古屋 : 松屋善兵衞、京都 : 出雲寺文治郎、江戸 : 前川六左衞門、大坂 : 河内屋太助
                        . 文政3 [1820] 
                           請求記号:915.32||Ki 資料ID:21884184 配置場所:貴重 
                                
                        紀貫之の『土佐日記』(935年)にも、山﨑の里に、店の立ち並ぶ情景が書かれている。  
                           十六日。今日の夜さつかた、京へ上る。ついでに見れば、 
                           山崎の小櫃の絵も、曲りの大路の方も変はらざりけり。 
                           <十六日の夕方、京へ上る。そのついでに見ると、山崎の町並みに小櫃の絵 お櫃に描いた絵看板または、お櫃の絵を描いた看板)や、曲りの大路付近も以前と様子が変わっていない。> 今の商店街を髣髴とさせる。 
 
                         
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                        新発見洛中洛外図屏風 / 狩野博幸著 ; 金井杜道撮影. -- 青幻舎, 2007. -- (大江戸カルチャーブックス). 
                           請求記号:721.4||Ka 資料ID:30750562 配置場所:3階M8 
                                
                        その後、中世の絵巻物には看板類は見られず、上杉家蔵『洛中洛外図潅風』に烏帽子屋の絵の看板、筆屋に筆の絵の看板が少し見られる。当時は店内の商品が一目で見られるので、商品や業種を示す必要がなかったのだ。
                         
                         
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                        職人尽絵 . -- 恒和出版, 1977.5. -- (江戸科学古典叢書 ; 6). 
                           請求記号:402.105||Ed||6 資料ID:30590915 配置場所:3階M14 
 
                                
                        慶長年間(1600年前後)の看板はごく小型の矩形または絵馬型である。 
                         
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                        ◇日本と西洋の偶然の一致? 
                        
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                        木 : なまえ・かたち・たくみ / 白洲正子著. -- 住まいの図書館出版局, 1987. -- (住まい学大系 ; 005). 
                           請求記号:520.8||Su||5 資料ID:30752597 配置場所:3階M10 
                                
                        日本酒の造り酒屋の軒先で見かける蜂の巣のような玉は、杉玉・酒林(さかばやし)と呼ばれ、杉の葉を束ねてボール状にしたものである。 
新酒のできた頃の、杉玉の青々としている時は「新酒ができましたよ」の合図。やがて葉が枯れて茶色がかってくるほどに、「お酒が熟成されてきました」という目安になっている。酒屋の看板のよう思われがちだが、元々は新酒を神社に奉納し神が受納したしるしである。 
                         
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                        ヨーロッパの看板 / 向田直樹著. -- 美術出版社, 1986. 
                           請求記号:748||15 資料ID:21109683 配置場所:3階M7 
 
                        松の小枝を看板に吊るし、「ワインの新酒(ホイリゲ)できました」の合図となっている。 
                         
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                        ◇散髪屋のサインポールの起源 
                        
                        
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                        理髪店の前で見かける、赤・白(・青)色の縞模様がクルクル回転する物体は、サイン・ポール、英語ではバーバー・ポール(Barber's pole) と呼ばれ、理髪店のシンボルになっている。 
                        その起源は、中世ヨーロッパにおいて、当時外科医を兼ねた床屋で瀉血・刺絡(しゃけつ・しらく=血を抜いて症状の改善を求める治療)の際に、握り棒として用いられ、その後、『瀉血療法いたします』の意味で店先の看板として用いられた。 
                         
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                        図説医学史 / マイヤー・シュタイネック, ズートホフ著 ; 小川鼎三 [ほか] 訳. -- 朝倉書店, 1982. 
                           請求記号:490.2||42 資料ID:30026889 配置場所:3階M12 
 
                        瀉血治療中の挿絵。患者が腕を突き出し、棒を杖のようにして持っている。 
                         
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                        AT THE SIGN OF THE BARBER'S POLE. STUDIES IN HIRSUTE HISTORY  /  WILLIAM ANDREWS[AL]. 1904. 
                           http://www.gutenberg.org/files/19925/19925-h/19925-h.htm 
 
                        エリザベス時代の床屋の挿絵。入り口にバーバーズポールを掲げている。 
                         
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                        工商技芸看板考 / 坪井正五郎著. -- 哲学書院, 1887. 
                           請求記号:674.8||1 資料ID:21418990 配置場所:移動書架B3 
 
                        ひねりを加えた形が、ポルトガルから伝来した砂糖菓子有平糖とよく似ていたことから有平棒(あるへいぼう)とも呼ばれ、明治時代にはすでにヨーロッパから入ってきていることがわかる。 
                         
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                        | 3.近世日本の広告 | 
                       
                      
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                        〈広告〉という言葉は、明治以前日本語には存在せず、1872 年 (明治 5)頃から新聞に登場するようになった。それ以前は「口上、ひろめ、引札」などといういい方がされていた。 
                        広告は江戸の中期から後期にかけてさかんになったが、その背景には町人が経済の中心になったことと、日本人の識字率の高さがあげられる。 
                         
                         
                          | 
                       
                      
                        ◇口上 
                        
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                        「さあてお立会い、御用とお急ぎのない方は・・・」で始まる「ガマの油売り」や、バナナの叩き売り、映画『男はつらいよ』の寅さんなどで有名な口上は、香具師(やし)が名調子で人の足を止めさせ、買う気を起こさせる芸術的な話芸である。 
                         
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                        うゐらう売せりふ (ういろううりせりふ) / 刊半 一冊 4丁 (安永七年九月十六日)  
                           請求番号: 五-4-6-1  登録番号: 2179993  配架場所:貴重 
                          二代目市川団十郎が享保2年(1717)に初演した「外郎(ういろう)売り」の口上は、現在でも歌舞伎十八番のひとつとして上演されている。 
 「外郎」は、小田原で評判の「透頂香(とうちんこう)」という薬のことである。 
 二代目団十郎は咳と痰の持病に悩まされていたが、外郎のおかげで完治したことから、小田原の外郎家に「薬のことを舞台で宣伝したい」と頼みこみ、ようやく今に伝わる「外郎売り」が誕生した。 
 この名調子の早口言葉は、今でもアナウンサーの滑舌(かつぜつ)練習によく使われている。 
                         
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                        声に出して読みたい日本語 / 齋藤孝著. -- 1.2. -- 草思社, 2002. 
                           請求記号:809.4||Sa 資料ID:30539136 配置場所:3階P13 
                         
                        外郎売せりふ、ガマの油売り、寅さんの口上も収録されている。 
                         
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                        ◇引札 
                        
                        
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                        大阪の引札・絵びら : 江戸・明治のチラシ広告 : 南木コレクション / 大阪引札研究会編. -- 東方出版, 1992. 
                           請求記号:674.7||1 資料ID:30156975 配置場所:3階M9 
                          引札とは、現在のチラシや折込広告にあたるものである。 
                         明和6年に平賀源内が宣伝に絡めて洒落を利かせた戯文を載せ始めると、源内に倣った戯作者たちによって、さかんに戯文体の引札が作られるようになった。山東京伝、曲亭馬琴、式亭三馬、柳亭種彦、仮名垣魯文など、当時の大流行作家たちも手がけている。 
                         
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                        | ◇新たな広告メディア
                        
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                        暖簾・看板などに加え、歌舞伎、吉原の桜見会、さらには錦絵、草双紙なども新たな広告メディアに加わった。 
                        買い物独案内、景物本、手拭等の配り物、広告双六など、現在とかなり近づいてくる。 
                         
                         
                          | 
                       
                      
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                        江戸買物獨案内 / 中川芳山堂 [原撰]. -- 下. -- 近世風俗研究会, 1958. 
                           請求記号:672.136||Na 資料ID:21827747 配置場所:1階T3 
                         
                         江戸に不案内な人のためのガイドブック。上巻、下巻、飲食の部からなり、商店の屋号や所在地を業種別にまとめ、その業種をいろは順に掲載している。屋号と住所だけのものもあれば、詳しい広告文が入っているものもあり、広告料の違いによるものと思われる。今のタウンページとそっくりである。 
                         式亭三馬、山東京伝、滝沢馬琴、十辺舎一九、為永春水など、当時の流行作家も宣伝文を書いている。 
                         
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                        広重 : 東海道五拾三次 : 保永堂版 / [安藤広重画] ; 鈴木重三, 木村八重子, 大久保純一著. -- 岩波書店, 2004. 1. 
                           請求記号:721.8||An 資料ID:30553699 配置場所:3階M3 
 
                        「東海道五十三次之内 関 本陣早立」から 
                         絵の左、本陣の帳幕の下に、右から「○○守泊」「○○休」と、現代の宿屋と同様に、大名の宿泊・休憩を示す札が下がっている。 
                         その次の「この薬仙女香」「しらが薬美玄香」という札は、その横の墨書きの説明どおり、「京ばし南てんま丁(傳馬町)三丁め坂本氏」によって出された広告で、さまざまなメディアとのタイアップもこの頃から始まった。 
                         ところで、白髪薬ビゲンといえば・・・! 
                         
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                        | 4.本学所蔵近世芸能資料より | 
                       
                      
                        | 
                        
                         | 
                       
                      
                        | ◇絵入役割番付
                        
                         | 
                       
                      
                         | 
                        歌舞伎・人形浄瑠璃などで、興行の宣伝のために刊行された印刷物で、上演月日・上演曲目・舞台面の絵・配役・出演者名・座名などを記したもの。劇場や芝居茶屋などで売り出された。 
                        江戸は半紙本の形態だが、大坂は半紙1枚刷り。枠外右方に上演月日と劇場名。枠の中は、座元の定紋と名前、狂言外題や割外題。 
                        上段には各場面の絵組を描き、人物には役者の紋をつける。下段には役人替役(配役)。浄瑠璃太夫、三味線、狂言作者などを記す。 
                         
                         | 
                       
                      
                        
                        
                          
                            
                               | 
                              
            
  
                  | 書名 | 
                  仮名手本忠臣蔵・梶原平三試名釼・廓文章  | 
                 
  
                  | 読み | 
                  かなてほんちゅうしんぐら・かじわらへいぞうためしのわざもの・くるわぶんしょう  | 
                 
  
                  | 請求記号 | 
                  【五-4-4-12】(2179967) | 
                 
  
                  | 形態 | 
                  刊 | 
                 
  
                  | 冊数 | 
                  一枚 | 
                 
                
                  | 刊年 | 
                  明治二十九年十一月一日 | 
                 
                                  
                                    | 書肆  | 
                                    大坂 加藤虎吉  | 
                                   
                                
             
                               
                               
                              近代歌舞伎年表 ; 大阪篇 第3巻./ 国立劇場近代歌舞伎年表編纂室編. 八木書店, 1988.(請求記号:請求記号:774.26||1||1-3 3階L3)に翻刻あり | 
                             
                          
                         
                         | 
                       
                      
                        |   | 
                       
                      
                         
                         
                         | 
                       
                      
                        ◇大阪俄のポスター 
                        
                         | 
                       
                      
                         | 
                        俄(にわか)は民間演芸の一種で、江戸時代から明治にかけて流行した素人の即興喜劇。 
明治に入って、俄は新派や喜劇の発祥に大きな役割を果たし、漫才に影響した。 
                        大阪俄からは、後に曾我廼家・楽天会・松竹家庭喜劇・新喜劇などの喜劇団が生まれた。 
                         | 
                       
                    
                   
                  
                    
                      
                         | 
                        
            
  
                  | 書名 | 
                  大坂ニワカ大よせ  演目:東海道四谷怪談 | 
                 
  
                  | 読み | 
                  おおさかにわかおおよせ | 
                 
  
                  | 請求記号 | 
                  【五-6-1-2】(2180054) | 
                 
  
                  | 形態 | 
                  刊 | 
                 
  
                  | 冊数 | 
                  一枚 | 
                 
                
                  | 備考 | 
                  素人浄瑠璃番付と貼り合せ  | 
                 
              
             
             
             
             
             | 
                       
                      
                         | 
                       
                      
                        | 参考資料: | 
                       
                      
                          
 | 
                            
                        日本広告発達史 / 内川芳美編 ; 上, 下. -- 電通, 1976. 
                          請求記号:674.21||Uc||1~2 登録番号:3058320~1 配置場所:3階M9 
 
                        江戸東京博物館 友の会セミナー 開催日;2009/01/24(土) 
                          http://www.edo-tomo.jp/nkdh/nsem/nsemi081020.html#nsm212 
 
                        英国パブ・サイン物語 : 酒場のフォークロア / 櫻庭信之著. -- 研究社出版, 1993.11. 
                          請求記号:674.8||2 資料ID:30346895 配置場所:3階M9 
 
                        広告と商業美術 / 大谷省吾編. -- ゆまに書房, 2005. -- (コレクション・モダン都市文化 / 和田博文監 修 ; 10). 
                          請求記号:213.6||Ko||10 資料ID:30661615 配置場所:3階N17 
 
                        看板図鑑 / 向田直幹著. -- 美術出版社, 1987. 
                          請求記号:757||11 資料ID:21118913 配置場所:1階C5 
 
                        守貞謾稿 / 喜多川守貞著 ; 朝倉治彦, 柏川修一校訂編集 ; 第1巻 - 第5巻. -- 東京堂出版, 1992. 
                          請求記号:382.1||37||1~5 登録番号:3015000~4 配置場所:3階M16 
 
                        I see all : the world's first picture encyclopedia with 100,000 pictures
                        of people,  places, and things and an atlas of every country in the world
                        / edited by Arthur Mee ;   v. 1 -- Meicho Fukyukai, 1982. 
                          請求記号:033||6||1資料ID:30201255配置場所:2階K1 
 
                        歌舞伎事典 / 服部幸雄, 富田鉄之助, 廣末保編. -- 新訂増補版. -- 平凡社,2000. 
                          請求記号:774.03||3 資料ID:30439993 配置場所:3階L3 
 
                        演劇百科大事典 / 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館編 ; 河竹繁俊監修 ; 第1巻 -第6巻. -- 新装復刊 . -- 平凡社, 1990. 
                          請求記号:770.3||2||1~6 登録番号:2076618~23 配置場所:3階L3 | 
                       
                    
                   
                   
                  
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