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                    展 示   
                  
                  
                   
                  
                  
                  
                  
                  
                   
                  
                  
                  
                  
                    
                      
                        | 1.はじめに | 
                       
                      
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                          「日本人は木と紙の家に住んでいる」という表現があるように、障子・ふすま・壁紙ばかりか、インテリアや生活雑貨でも、おしゃれで美しい紙製品に囲まれて暮らしています。また、ノート、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど日常生活にも紙は欠かせません。 
 今回は、大学生のみなさんに馴染み深い文房具としての紙に注目して、本学図書館所蔵の資料を集めてみました。 
                         
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                        | 2.紙とは | 
                       
                      
                        | 
                        
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                          紙とは、「植物繊維を水で分散させ、無機または有機添加物を加えてシート状に作り、脱水乾燥させ、印刷、筆記、包装などの用途にあてるもの」(『平凡社世界大百科事典』)とあります。この定義によれば、紙の語源となっている古代エジプトのパピルスは、厳密にいえば紙ではありません。パピルス紙は植物パピルスの茎を薄くはぎ、縦横に並べて、強く圧縮してシートにしたもので、繊維を分散させて作ったものではないからです。 
 
                         | 
                       
                      
                         
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                        文字遺産集成 Heritage of Writing / 雄松堂書店 より 
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                        ◆象形文字が書かれたパピルス 
 
                            エジプト  紀元前1200年~紀元2世紀頃 
   『エジプト死者の書』の断片、来世のための呪文   
                         
                         古代エジプトでは、ナイル川流域の水辺に生える、アシに似た水草パピルスの茎を採り、皮をはいで白い髄を細く裂き、その維管束を縦横に並べて重しをかけて乾燥し、さらにこすって滑らかにしたパピルス紙を作り筆写材料としました。それまで、石、木片、蝋、金属などが使われていましたが、パピルスは軽くて扱いやすく、書き損じは海綿で容易に消すことができたので、記録材料として、4000年の長い間使われました。 
                         
                         
                         | 
                       
                      
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                        ◆ラテン語が書かれたヴェラム(羊皮紙) 
 
                            フランス 15世紀末~16世紀初    
                           写字生による祈祷書で、金の頭文字が美しい   
                         
                         パピルスは初期のギリシアやローマにも伝わりましたが、プトレマイオス王朝の時代になってエジプトが輸出を禁止したため、小アジアを中心に羊皮紙(羊や牛の革)が考案されました。そのためヨーロッパ中世を通じて羊皮紙が唯一の書写の材料となりました。 
                          アメリカ独立宣言書(1776年)やフランス革命の権利宣言書(1789年)も羊皮紙に書かれています。 
                         
                         
                         | 
                       
                      
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                        ◆楔形文字が刻まれた粘土円錐 
 
                            新シュメール 紀元前2120年頃    
                            神殿建設を祝う奉献文   
                         
                         古代オリエント、エーゲ文明世界などでは、楔形文字や線文字を記すのに粘土板が使われました。 
 粘土板は保存性は抜群ですが、重くて運搬には苦労したらしく、パピルスや羊皮紙が入ってくると、次第に使われなくなりました。 
                         
                         
                         | 
                       
                      
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                        ◆ブラーフミー文字が書かれたシュロの葉(貝多羅葉〈ばいたらよう〉) 
 
                            バーミヤン 2~5世紀 
                            ブラーフミー文字は後のインド文字の基礎となった 
                         
                         貝多羅葉は、その葉の裏に竹筆や鉄筆などの先の尖ったもので文字を書くと、その跡が黒く残るので、古代インドで写経をするのに用いられました。 
 日本にも、よく似た名前の多羅葉(たらよう)があります。多羅葉も葉に傷痕を付けると黒変して文字が書けるので、貝多羅葉にたとえて多羅葉となりました。この名前が「葉書」の元となっています。今でも120円切手を貼るとちゃんと届きますよ。 
 
                         
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                        ◇日本への伝播 
                        
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                         日本書紀 / 小島憲之 [ほか] 校訂・訳 . 風土記 / 植垣節也校訂・訳. -- 小学館, 2007. -- (日本の古典をよむ ; 3).  
                             資料ID:30751088  請求記号:918||Ni||3   配置場所:3階N2 
                                
                         中国で発明された製紙術が日本に伝わりましたが、記録としての最初は『日本書紀』の推古 18 年 (610) の項にあり、この年 3 月に来朝した高句麗の僧曇徴(どんちょう)
                        が、「五経を知り、またよく彩色及び紙墨を作り、そのうえ碾磑 (みずうす) =水力発電の臼を造る」と記されています。 
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                        正倉院古文書影印集成 二 正集 : 巻22-45. -- 八木書店 
                             資料ID:30036475 請求記号:210.35||47||2  配置場所:1階A11 
                                 
                         日本で作られた最古の紙は、702年(大宝2年)の戸籍用紙です。現在、正倉院中倉に納められています。 
                         当時、紙は大変貴重だったので、使用済みの戸籍などの公文書が反故紙として東大寺に渡り、その紙背(しはい)を記録紙などに利用しました。最古の戸籍用紙の裏は筆墨の台帳として利用されています。 
	 
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                        正倉院古文書影印集成 四 正集・裏 : 巻22-45. -- 八木書店 
                             資料ID:30062245 請求記号:210.35||47||4  配置場所:1階A11 
                                天平十五年~天平二十年の筆墨充帳 部分 
                          東大寺の僧が写経をするのに、筆一つ、墨一つというように、文具の出納の記録をつけています。 
                         丸部嶋守という人は筆を一本墨を一つを返して、新しく筆を一本もらいました。10月4日、12月11日、18年2月6日… たくさんの筆や墨を使ったようですね。 
  
	 
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                        延喜式 / 藤原時平[ほか著] ; 正宗敦夫[ほか]編纂校訂. -- 二. -- 現代思潮社, 1978 
                             資料ID:20396282  請求記号:081||43||98  配置場所:3階N3 
                         
                        紙譜(新撰紙鑑) (安永6年刊の複製)  / 木村青竹編. -- [辻川昭山], 1933 跋 
                             資料ID:21827211  請求記号:585.6||Ki  配置場所:1階T3 
                         
                         大宝律令により図書寮が設置され、そこで紙の製造と紙の調達が国家事業となりました。 『延喜式』には1年間に必要な紙の量、材料、工程などを見ることができます。ただし、その製法は秘伝とされていたので、記録としてはほとんど残っていません。 
 『紙譜』は享保13年(1728)に主に西日本で作られていた紙の種類を記録したもので、縦横の寸法・単位枚数などが書かれています。 
 紙漉きの工程を図解した最初の本は寛政10年(1798)刊の『紙漉重宝記』です。 
                          
                         
                         
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                        紙漉重寳記(寛政10年刊の複製) / 國東治兵衞選 ; 丹羽桃渓画. -- 紙業出版社, 1942.10 
                             資料ID:21827303  請求記号:585.6||Ku  配置場所:1階T3 
                          和紙の特徴は、薄くて、強く、しかも風合いが美しいところにあります。 
 原料としては楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などですが、西洋紙と違って、表皮部の白皮から取った繊維を主原料にしています。これに対し、西洋紙は、木の表皮は取り除き、内側の木質部(いわゆる木材パルプ)を主に用いています。このため和紙は、繊維が長く、繊維どうしが緊密に絡み合うので、薄くても強靭な紙をつくることができるのです。 
                         
                         
                         『紙漉重宝記』でもコウゾの皮をむく図があります。木ではなく、皮のほうを使います。 
                             同(前ページのコウゾを受けて)かわを剥く図 
                               図のごとく、手にもち、 
                               皮をむきとるなり。 
                               中の真木、 
                               たきぎのほか用立なし。 
                         中の木は、たきぎ以外に使えないと言っています。 
                         
                         
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                        源氏物語繪巻 至宝日本の絵巻物完全復刻シリーズ第2巻 / 秋山光和 [ほか] 監修. [複製]. -- 丸善, 2003.11. 
                             資料ID:30558380  請求記号:913.36||Ge  配置場所:1階T4 
                         
                        王朝継ぎ紙の世界 / 近藤富枝, 近藤陽子著. -- 河出書房新社, 2006. 
                             資料ID:11097105  請求記号:754.9||Ko  配置場所:短大図書館 
                          平安時代になると、和紙を染料や顔料でいろいろな色に染めたり、版木で文様を刷り込んだり、金銀の箔加工を施したりして、美しい料紙を作りました。有名なものに平家納経・寸松庵色紙・源氏物語絵巻などがあります。 
                         
                         
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            和紙要録 / 竹田悦堂著. -- 下巻. -- 増補. -- 文海堂, 1971. 
                           資料ID:21844867  請求記号:585.6||Ta||2  配置場所:1階C1 
                         
             手漉和紙精髄 : ふるさとと歴史 / 久米康生著. -- 講談社, 1975.. 
                           資料ID:30319219  請求記号:585.6||12  配置場所:1階D20 
             
            平成の紙譜 / 浅野昌平, 十文字三郎制作  -- 全国手すき和紙連合会, 1992. 
                           資料ID:30186453  請求記号:585.6||3||1-3  配置場所:1階D20 
                         
            紙漉村旅日記 / 寿岳文章, 寿岳静子著. -- 明治書房, 1944 
                            資料ID:30293410  請求記号:585.6||6  配置場所:3階M10 
             
             
             
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                  | 5.紙のリサイクル | 
                 
                      
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                   紙が貴重なことから、紙背(しはい)の利用と合わせて、紙のリサイクルもよく行われました。最古の古紙リサイクルは、清和天皇の女官であった藤原多美子が、天皇から贈られた手紙を漉き返させ、その紙に経文を書き写したという記録が『三代実録』に残っています。 
                   漉き返しを行うと、紙の色は薄い黒色となるため薄墨(うすずみ)紙、そのほか、宿紙(しゅくがみ)・紙屋紙(こうやがみ)・反魂紙(はんこんし)・還魂紙(かんこんし)などと呼ばれました。 
                   
                   | 
                 
              
             
             
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             | 
            
            
  
                  | 書名 | 
                  いせ物がたり  | 
                 
  
                  | 読み | 
                  イセモノガタリ | 
                 
  
                  | 請求記号 | 
                  【四-1】(2179418) | 
                 
  
                  | 形態 | 
                  刊中 | 
                 
  
                  | 冊数 | 
                  一冊 | 
                 
                
                  | 行・丁 | 
                  19.5丁  | 
                 
                
                  | 刊年 | 
                  享保十四年 | 
                 
                
                  | 絵師 | 
                  近藤清春 | 
                 
                
                  | 書肆 | 
                  鱗形屋 | 
                 
                
                   | 
                  鱗形屋は代表的な草双紙の本屋(出版社) | 
                 
              
 
             
             
             | 
           
          
                        
      
                    
                      
                  | 6.ノートのはじまり | 
                 
                      
                  | 
                  
                   | 
                 
                
                   書きつけることを目的として、白紙をあらかじめ綴じ合わせておくというのは、紙が大量に生産されるようになってからのことです。それ以前は、書きつけた紙を、あとで綴じ合わせていました。 
 日本のノートの始まりといえば、大福帳です。もともとは商家が自宅で綴じていましたが、18世紀中頃から商品として販売されるようになりました。 
 本の印刷用としてのみ、紙が作られていたヨーロッパでは、インクによる筆記を可能にした紙が出まわるのは、19世紀前半になってからでした。イギリスを中心に良質の筆記帳が大量生産され、留学した日本の学者や学生が、それらを日本に持ち帰りました。あまりに高価だったので、帝国大学出の人しか使いこなせないということで、大学ノートと呼ばれるようになりました。 
 
                   | 
                 
                
                   | 
                  学校の文化 / 佐藤秀夫著. 阿吽社, 2005. -- (教育の文化史 / 佐藤秀夫著 ; 小野雅章 [ほか] 編集委員 ; 2).  
                           資料ID:30604094  請求記号:372.1||Ky||2  配置場所:3階M19 
                   | 
                 
              
             
             
             
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            参考資料:    
               紙の大百科. -- 美術出版社, 2001. -- (新デザインガイド). 
           3階M10  30750418  585||Ka 
   おもしろい紙のはなし / 小宮英俊著. -- 日刊工業新聞社, 1990. 
                     1階C1  21334900  585||2 
   紙のはなし / 紙のはなし編集委員会編 ; 1, 2. -- 技報堂出版, 1985. 
                     3階M10  3000528~97  585.04||1||1~2 
               和紙と日本人の二千年 : 繊細な感性と卓越した技術力の証明  
                 / 町田誠之著. --PHP研究所, 1983.2. -- (21世紀図書館 ; 4). 
                     移動書架B22  21060205  585.6||Ma 
   日本の紙 / 寿岳文章著. -- 吉川弘文館, 1967. -- (日本歴史叢書 ; 14). 
                     3階N14  210.08||15||14  20144111  
   江戸明治手漉紙製造工程図録 / 関義城著. -- 木耳社, 1979.9. 
                     3階M10  30319196  585.6||8  
   古今紙漉、紙屋図絵 / 関義城著. -- 木耳社, 1975. 
          3階M10  30319202  585.6||9 
   紙の博物舘概要 : 25年の歩み. -- 紙の博物舘, 1975. 
          1階C1 20987787 585||1 
               文具の歴史 / 田中経人?著. リヒト産業, 1972.  
          移動書架B13  21521683  589.7||44 
   散歩道で出会う身近な樹木たち / 高岡得太郎著. -- 高岡得太郎, 2008. 
          3階M9 30729445 653.21||Ta 
 
             
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