神戸女子大学・神戸女子短期大学   須磨キャンパス図書館

 

               

展 示

⇒こちらは展示一覧                  
■2021年度   Winter

     医学の発達と人体への関心
             
1. 古代文明の医学
メソポタミア、エジプト、中国、インドの古代文明は、治療や癒しの専門家が知識と経験を重ね、さまざまな伝統療法を発達させた。ほとんどは占いや呪術などが主流だったが、やがて人間の体に焦点が当てられるようになった。



古代中国医学
病気の概念 : 陰陽、五臓六腑、五行の元素とその循環が相互に作用しあって気の流れに影響を与える。その不調和が病気をもたらす。

黄帝内經素問白話解 / [(唐)王冰撰]. -- 人民衛生出版社, 1958.
21061417 移動書架B27閉架 490.9||Sa

『黄帝内経』はB.C.200年~100年、中国の漢の時代に編纂された医学書。黄帝という伝説の王と岐伯という黄帝の医者との問答形式で書かれている。
 陰陽五行説をもとにして、生理学ないし一般病理学について書かれた『素問』と、実践・鍼灸理論が扱われた『霊枢』からなり、ユネスコの「世界記憶遺産」に選定された。



古代インド医学
病気の概念 : 3つの増えやすいエネルギー(トリ・ドーシャ)が存在しており、その不均衡が病気を引き起こす。

スシュルタ本集 / Susruta著 ; 大地原誠玄完訳. -- アーユルヴェーダ研究会, 1971.
21140716 移動書架B27閉架 490||Oo

 『スシュルタ本集』はB.C.600年頃、古代インドの医者スシュルタが著した「アーユルヴェーダ」の医学書。病気、薬用植物、100を超える手術道具の説明があり、彼は帝王切開、白内障、美容整形、ヘルニアや脳外科など難解な手術も手掛けた。



古代ギリシャ医学
病気の概念 : 血液・黄胆汁・黒胆汁・粘液の四体液の調和によって身体と精神の健康が保たれ、そのバランスが崩れると病気になる

Hippocrates ; v. 1 / with an English translation by W.H.S. Jones. -- Heinemann. -- (The Loeb classical library ; 147).
20975920 1階C16閉架 080||1

 古代ギリシアの医者ヒポクラテス(Ἱπποκράτης 紀元前4世紀頃) はそれまでの呪術的医療と異なり、科学に基づく医学の基礎を作ったことで「医学の祖」と称されている。 彼の死後、弟子たちによって編纂された全集にある「ヒポクラテスの誓い」は、現在でも世界中の医学部で宣誓式に使われている。




2. 人体への興味
病気を治療するために、人々は人体の構造に深い関心を寄せてきた。その手段として遺体の解剖が行われ、印刷と芸術の発展に伴って美しい解剖書が作られた。
日本では死体を解剖することに倫理的に抵抗があったため、江戸時代以降の腑分けにより解剖絵図が作られるようになった。

レオナルドと解剖 / 岩井寛, 森本岩太郎著. -- 岩崎美術社, 1977.
20423957 3階M12 491.1||43

 レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452-1519)は画家であるとともに、科学者でもあった。メディチ家を出てフィレンチェに腰を据えたレオナルドは、依頼された絵画を描く傍ら、「鳥の飛翔」についての研究を始めていた。解剖図はその理解のために始めたが、次第に人体の神秘に関心が向くようになった。
 膵臓は腹部の最深部に位置するので、レオナルドはその存在に気づかなかった。臍静脈が描かれている。



外科訓蒙図彙 巻之上 / 伊良子光顕 明和4年(1767).
【十二-5】(2180251)

 京都の典医家である伊良子光顕(1737-1799)が、フランスの医師アンブロワーズ・パレの外科書を、オランダ語訳から日本語に訳したもの。
 アンブロワーズ・パレ (Ambroise Pare 1510-1590)はフランス近代外科の祖と呼ばれ、「床屋外科医」だったが、近代外科の発展において重要な功績を残した。
 当時、医者は内科の治療をし、怪我の処置から四肢の切断に至るまでは理容師が行っていた。



Orbis sensualium pictus / by Johann A. Comenius. -- ほるぷ出版, 1979. -- (複刻世界の絵本館 . オズボーン・コレクション).
20551674 1階C2閉架 726.5||40||1
Originally published: 1777

 『世界図絵』(Orbis Pictus,または Orbis Sensualium Pictus)はチェコの教育者コメニウスが著した世界初の子ども向けの絵本で、1658年にラテン語とドイツ語で出版された。1780年代まで図版とテクストの双方を改良した新版がさまざまな言語で出版された。
 店の中央で床屋が女性に瀉血(=悪い血をとる治療)をしているところ。



解体新書 / [與般亞單闕兒武思著] ; [杉田玄白訳] ; 西村書店編集部編. -- 復刻版. -- 西村書店, 2016.
30985919 3階M12 491.1||Ku
原本の出版は安永3年(1774)

 明和8年(1771)、杉田玄白、中川淳庵、前野良沢らは、小塚原刑場の刑死者の腑分(ふわけ)(=解剖)に立ち合い、持参していた『ターヘル・アナトミア』が実物どおりであることに驚いた。そこでそれを翻訳し『解体新書』として出板した。
 『ターヘル・アナトミア』はドイツ人医師クルムス(Kulmus 1689-1745)の解剖学書『Anatomische Tabellen(1722)』のオランダ語訳書。



醫範提綱内象銅版圖(いはんていこうないしょうどうばんず) / 宇田川榛齋著 ; 亜欧堂主人鐫. -- 文政6(1823).
22073495 2階資料室 491.1||Ud

 わが国最初の銅版画による解剖図で、オランダのブランカールト解剖書を模写したもの。『医範提綱』の附図として文化5年(1808)に初版。
 宇田川榛齋(1770-1835)は杉田玄白、大槻玄沢の私塾で学んだ。彼は「膵臓」を「にくづき」に「萃」を組み合わせて文字を創作し、「スイ」の音を当てた。また「腺」の漢字も創作した。



Encyclopaedia anatomica : a collection of anatomical waxes = Sammlung anatomischer Wachse = collection des cires anatomiques /by Monika v. During & Marta Poggesi ; photographs by Saulo Bambi ; edited by Petra Lamers-Schutze, Yvonne Havertz, Cologne. -- [New edition]. -- Taschen, 2014.
30947887 1階D3閉架 491.1||Du

 17世紀末から19世紀にかけて、イタリアを中心に大学の教材として蝋細工の解剖模型がつくられた。その後一般の人たちの見世物として博物館が作られ人気を博した。




 初學人身窮理 / カットル著 ; 松山楝菴, 森下岩楠訳 ; 下. -- 雄松堂書店, 1982. -- (明治初期教育稀覯書集成). 
原本の出版は明治9年(1876)
21206177 1階B5閉架 370.8||8||3-7-2

 明治初期の学校教科書。慶応義塾の松山楝菴と森下岩楠がアメリカのカットル(Calvin Cutter 1807-1873)の解剖書の一部を翻訳して、一般向けにやさしく解説した。
 明治になると蘭学に代わり、いっきに英米の書物が輸入された。医学は「お雇い外国人」政策によりドイツから教師を迎えたため、英米からドイツ系の解剖書にとって代わった。




3. 日本の医学書
中世までは中国大陸から伝来する、経験に基づく漢方医学(生薬、鍼灸、食養生など)により治療をおこなった。
江戸時代になり長崎からオランダ医学が導入されると、病院や医塾が開設され、西洋式治療も行われるようになった。



医心方 / 丹波康頼撰 ; 槇佐知子全訳精解 ; 巻1A. -- 筑摩書房, 2011.
30357600 3階M12 490.9||45||14

 永観2年(984)、丹波康頼が当時日本にあった中国の医学書を用いて、紀元前から唐代末までの中国と古代オリエントの医学を集約し、病気の説明と治療法を書いた日本最古の医学書。
 西洋では「ヒポクラテスの誓い」が有名だが、東洋でもそれに勝るとも劣らない医のモラルが書かれている。国宝。



病名彙解 / 蘆川桂洲. -- 梅村藤右衛門他, 貞享3年(1686).
【十二-9】(2180255)

 医者蘆川桂洲が貞享3年(1686)に著した医学辞典。病名をいろは順に並べ、解説をほどこしている。収められた病名は全部で1822。
 乳岩(=乳癌)の項目あり。
 癌は、エックス線写真などがなく診断がつかなかったようで、胃がんや肺がんなどは見当たらない。



鍼灸重宝記綱目 / 本郷正豊著. -- 岡田三郎右衛門, 寛延2年(1718).
【十二-7】(2180253)

 鍼灸臨床三大書の1つと言われ、臨床の基本、刺鍼法や取穴などを解説している。
 鍼灸は身体への物理刺激によって疾病を治療する中国医学で、日本では17~19世紀に独自の発展を遂げた。
 享保3年刊の『鍼灸重宝記』を享保20年(1735)に正誤改訂し、板が摩耗したので寛延2年(1718)を出したと奥書にある。



家伝療治秘伝書 --菊屋長兵衛, 享保20年(1735).
【十二-3】(2180249)

 病気の説明と、処方される漢方薬とその配合が書かれている。
 漢方薬の成分は、現在とほとんど変わっていない。



吐方撮要 / 加古坎主水[加古角洲]述. -- 東壁堂梓, 文化5年(1808) 序跋.
30462182 1階W2閉架 492||45

 大阪の医者加古角洲(1776-1832)が著したデトックスの医学書。「吐方」とは、催吐剤を用いて吐かせて毒を積極的に体外へ排出する治術。
 「汗吐下」(=汗を出させる・吐かせる・下す)の治療法がある。



志都能石屋(しずのいわや)講本 : 一名医道大意 / 平田篤胤講説.
21912665 貴重 490.15||Hi||2

 国学者の平田篤胤(1776-1843)が、医学を学ぶ人向けに講義したものを、文化8年(1811)に弟子がまとめた。
 平田篤胤は医学、蘭学を学び医者であったが国学に目覚め、日本にも漢方が中国から伝来する以前に独自の医薬があったと説いている。
 下巻に体の構造に関する説明。解体(=解剖)については『医範提綱』『解体新書』などがよろしいとある。



医道日用綱目 / 本郷正豊. -- 柏原屋清右衛門, 文政元年(1804) 
【十二-2】(2180248)

 医学入門書で、『医道日用重宝記』『医道重宝記』ともいわれる。序(前書き)に宝永6年(1709)に改訂したとあ明治6年まで何度も版を重ねた。
 内容は、按摩・診脈・薬・外科婦人科小児科・食事療法・針灸と幅広い。



健全学 / ロベルト・ゼエムス・メン [著] ; 杉田玄端訳 ; 下編巻之上. -- 復刻版. -- 雄松堂書店, 1982.
20697846 1階W2閉架 498||1||5
原本の出版は慶応3年(1867)

 栄養の消化吸収、呼吸のしくみ、体の構造から飲酒まで、からだと健康に関することを説明した本。杉田玄白の曾孫、杉田玄端 (すぎた げんたん1818 - 1889)の訳による、英文原著のオランダ語訳からの翻訳。





医家名鑑 / 山田左近編. -- 前田書店, 1970.
21446108 1階W4閉架 490.35||Ya
原本の出版は弘化2年(1845)

 大阪の医者の人名録。多くの医家人名録では、医名・診療科・住所を記しているに過ぎないが、この『医家名鑑』ではそれに加えて家紋と合羽印を収録している。合羽印とは薬箱にかぶせる合羽(カバー)に付けた紋で、黒地に朱か黄色でデザインされ、ほとんど全員が付けている。
 本道は内科のこと。
  Copyright (C) 2004 Kobe Women's University and Kobe Women's Junior College Suma Campus Library. All Rights Reserved.
| お問合せ先とアクセスマップ |